「ポケモンGO」ブームで自民党が姑息な政治利用、マスコミは批判の意味を込めたシリアからのSOSメッセージを歪曲

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 また、ゲーム「シリアGO」を公開したターハンさんのこんなコメントも記されている。

「(みんながいま熱中している)ポケモンの代わりに、シリア問題やシリア人が直面する苦難に関心を持ってもらいたいと思って制作したんです」

 実際、シリアの子どもたちの現実を知ったら、「ポケモンGO」どころではないのは明らかだ。ユニセフは今年3月の報告で、シリアの子どもの80パーセントにあたる40万人が内戦の影響を受けていると発表した。これによれば、推定370万人、すなわち3人に1人の子どもが内戦の後に生まれているとされている。また、昨年には軍や武装勢力に徴用される子どものうち15歳未満の子どもが半数を上まわり、戦闘参加や武器運搬などをしているという。

 戦地の子どもたちがポケモンの絵を掲げるのは、まさにBBCがいうように「不思議な想像上の生き物を追いかける暇があるなら、なぜ、戦火の下で大きくなる子どもたちを助けに来ない」という訴えに他ならない。それは同時に、「なぜ世界のメディアは私たちの現実を無視しているのか」という報道機関へのメッセージでもある。

 しかし、たとえば日本のNHKはこれをどう報じたか。「NHK NEWS WEB」の見出しは「ポケモンGOの人気を利用してシリアで支援の呼びかけ」。ネットニュースも含めて、他の報道もほとんど同じトーンだった。ようするに、日本発祥のポケモンGOがとくに欧米先進国で大ブームを巻き起こしているという“日本スゴイ!”文脈のなかで、“戦地でもポケモンが”とハシャいでいるにすぎないのだ。……平和ボケとはまさにこのことを言うのだろう。

 テレビや新聞などのマスメディアが、「ポケモンGOブームスゴイ」的な報道をまったくしてはならないとは言わない。だが、報道機関には、何をどう伝えるべきかという順序と深度がつねに求められているはずだ。そして、それはなにより“一番の弱者”に寄り添うためのものでなければならない。彼らにはそれができるだけの金も体力もある。

 しかし、彼らはそのもっとも重要なことを伝えなかったばかりか、ブームに乗っかるあさましい官邸や政権与党のPRを嬉々として垂れ流している。

 いま、この瞬間も、大人の戦争によって子どもたちが殺されている。一刻でも早く止めなければならない。そんな現実すら伝えなくなってしまった彼らにはもう、報道機関としての矜持も、使命も、期待してはいけないのだろうか。
(小杉みすず)

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