ホリエモン「地震でバラエティ自粛は馬鹿げている」は本当に正論なのか? 背後にある“自己中”ネオリベ思想

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 だが、マスメディアが大災害の渦中でどういう姿勢をとるかはまったく別問題だ。なぜなら、マスメディアは多くの人に情報を届け、共有してもらうことを目的にした公共財、準公共財だからだ。その活動はたんなる経済活動にはとどまらず、人びとの行動や意識形成に多大な影響を与えるものであり、そこには当然、社会的責任が生じる。

 しかも、マスメディアが発する情報、コンテンツは、震災で家を失い、水や食料不足に苦しんでいる被災者や家族や知人を亡くした人たちにも届く。

 だとしたら、震災時は “多様な受け手のどこに目線を置くか”ということに、平時よりも慎重になってしかるべきだし、せめて災害勃発直後くらいは、みんなでゲラゲラ笑うようなバラエティやお笑い番組を自粛すべきだ。

 しかも、今回の熊本地震の場合は、これまでの地震とはまったくちがう様相を見せており、近いうちに新たな大地震が誘発される可能性も指摘されている。安倍政権の後手に回った対応によって、食料やライフラインの確保などの十分な支援がまったく行えていない。

 この状況にメディアが、今はエンタテインメントよりも、震災にフォーカスをあてた番組作り、紙面作りに切り替えようと考えるのは当然だろう。

 いっておくが、これはNHKや民放、大新聞はもちろん、今回、ホリエモンが怒っているAbemaTVだって同様だ。AbemaTVはサイバーエージェントというIT業界大手と全国キー局のテレビ朝日が肝いりでスタートさせた「無料」のネットTVであり、「マス」としての社会的責任は変わらない。

 そういう意味では、日本テレビなどが16日午後から早くも平常運転に戻し、バラエティを放映し始めた中で、AbemaTVが放送延期をしたのはむしろ、英断と評価すべきだ。それを一方的に「アホ」とか「チキン」などと罵声を浴びせているホリエモンこそ、メディアというものに対する感覚がズレている、公共性への認識が欠けているとしか言いようがないだろう。

 しかも、ツイートや他のユーザーとのやりとりをみてみると、そもそもホリエモンは「メディア」と「自粛」との問題について議論を喚起したいというような高尚な動機で、投稿したわけではなさそうだ。

 たとえば、ホリエモンはAbemaTVや一般ユーザーのツイートに返答するかたちで、こんな発言をしていている。

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