バス事故で教え子を亡くした尾木ママが「あれは事故ではなく事件」「小泉政権の規制緩和のせい」

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尾木直樹オフィシャルブログより


 年明け早々、15名の命が奪われてしまった軽井沢スキーバス事故。バス運行会社である「イーエスピー」では、運行指示書の不備や、法定の下限を下回る価格で受注していたことなど問題点が次々に発覚しているが、このバス事故を〈事故などではなく「事件」という気がしてなりません〉と訴えているのは、教育評論家の“尾木ママ”こと尾木直樹氏だ。

 大きく報じられたように、今回のバス事故では、法政大で教鞭を執る尾木ママのゼミ生4名が犠牲になっている。そのため尾木ママはマスコミの取材に対しても悲痛な心境を語ってきたが、現在発売中の「週刊文春」(文藝春秋)2月11日号の連載コラムでは、バス事故の構造的な問題に踏み込んでいる。

 スキーバス事故が起こってしまった構造的な問題──それは小泉内閣による「規制緩和」だ。

 今回のバス事故を起こした運転手は65歳だったが、バス事故において65歳以上の高齢運転手だったケースは〈おととしまでの十年間で二倍以上〉。軽井沢の事故のすぐ後の17日に兵庫県で起こった、観光バス運転手が走行中に意識を失った件では運転手の年齢は70歳、つづけて20日に乗客24名が怪我を負った東京・大田区のバス事故でも運転手は58歳。そうしたことから尾木ママは〈労働条件が厳しいバス運転手の仕事には、若者が寄り付かなくなっているのかもしれません〉といい、〈その背景にあるのが、二〇〇〇年の規制緩和〉だと述べるのだ。

 ご存知の通り、小泉純一郎・元首相は「聖域なき構造改革」をスローガンに掲げ、さまざまな分野で規制緩和を行った。バス会社についても、それまでは事業参入も免許制だったが、規制緩和によって認可制へと変更。新規参入が増加し、そのため価格競争が勃発した。尾木ママはこうした規制緩和による変化が、事故につながっていると指摘する。

〈自由競争を導入したことで運賃もグンと下がり、いい面もあるのでしょうが、コスト削減による低運賃化、激務化から運転手不足。安全への配慮を怠ってしまったのではないかと考えてしまいます〉

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公共交通が危ない―規制緩和と過密労働 (岩波ブックレット (No.665))

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