嵐・二宮が吉原で…ビートたけしと共演で話題のドラマ『赤めだか』 立川談志と談春の破天荒ぶりがスゴい!

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 晴れて弟子となったあとも、毎日大量の指示が飛ぶ。窓の桟の掃除、宅急便の引き取りに、庭の草木の手入れ、鳥の巣の除去、シャワー給湯の調整、物置の写真の整理、買い物、スリッパの掃除、「庭を通る猫をどかせ」などなど……。シャワー給湯に至っては、「どうしてもお前たちで直せないなら職人を呼ぶことは許すが、金は使うな」、庭の草木に使う薬は「何か探せばそれらしきものがあるだろう。なきゃ作れ。オリジナリティとはそうやって発揮してゆくもんだ」と、無茶としか言いようがない要求の中で、弟子4人は苦闘。毎日のようにこういった命令が来るのだから、多少手を抜けばいいかと思いきや、「一番恐ろしいことは、談志(イエモト)は云いつけた用事をひとつ残らず覚えていて、一日の終わりに全てチェックが入る」という。

 これを聞くだけでは、小間使いと称して弟子たちをイジメているように見えるが、実は談志なりの「修行」のひとつなのだ。談春は入門前に「修行とは矛盾に耐えることだ」と言われたそうだが、“矛盾”をどう楽しむのかが、弟子への課題。というのも、古典落語の多くは、人間のずるさ・弱さを笑いとして昇華するものである。それをどうにかこうにか切り抜けることが求められいるのだ。雑事を終えたと報告すると、「談志(イエモト)が笑って『じゃ、飯にするか』と台所に入って、自分でチャーハンを作りだす」。これは談志なりの褒美なのだろう。決しておいしいチャーハンではなかったようだが、食べながら全員で笑い合う。「その一瞬が欲しくて僕達前座は目の色変えてシャワーを直し、パニックになりながら猫を追う」と談春もつづっている。

 こういったエピソードを見ていると、テレビなどで見せていた「気難しい落語家」のイメージが崩れそうだが、やはり談志は「気難しい」。それを表しているのが、談春最大の危機である、「風邪気味なので稽古は後日」事件だ。

 ある日、談春は、談志から「稽古をつけてやる」と声をかけられたのだが、その日に限って体調不良で悪寒が走っていた。師匠に風邪を移すわけにはいかないと、「僕、風邪ひいていまして、くしゃみが止らないので……」と辞退すると、意外にも「そうか、じゃあ風邪が治ってからゆっくりやるか」とすんなり受け入れられる。

 しかし、ここからが奇才の成せる技。談春の実母に電話し、大変な剣幕で「無礼にもほどがある」と仔細を報告し、仕事の先々で顛末を話し、挙句、それ以来一切談春に稽古をつけなくなった。「だから正しくは談春は談志(イエモト)から、浮世根問、道灌、狸の札、狸の鯉、十徳の五本しか落語を教わっていない」んだとか。もともと他人への思い込みが強い談志は、この件があったからなのか、はたまた気が利かぬ弟子に手を焼いたのか、弟子たちを1年間、築地の魚河岸で働かせるという、とんでもない行動に出るのだ。このあたりは、今回のドラマのハイライトとなりそうなので、たけしや二宮の熱演を期待したい。

 談志の風変わりな面が印象的な同作だが、同時に、落語家として腹を決め、成長していく談春の青春記でもある。彼も師匠譲りの破天荒エピソードの持ち主。師匠宅の雑事をしながら経験を積む前座から、一人前とみなされる「二つ目」への昇進が決まった際には、着物一式を新調しようと競艇へ。見事大穴を当て、70倍強の配当を持って「吉原」へ行くというシーンもある。この場面がドラマ化されたときには、二宮がどう演じるか、ファンが気になるところだ。
(江崎理生)

最終更新:2015.12.28 02:15

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