『下町ロケット』最終回に「週刊ポスト」が実名登場! 実際はドラマと逆、政治家の訴訟にビビり編集長更迭したのに…

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 この相次ぐ「週刊ポスト」による猛追に官邸は激怒。とくに高市総務相のスキャンダルの火消し役に回っていたのが菅官房長官だったため、続けて自分がターゲットとなったことで「ポスト憎し」の感情はエスカレートしたという。

 その結果、官邸はどう動いたか。それはドラマ同様、訴訟に打って出たのだ。前述した高市総務相の実弟が関わったとされる「後援会企業への不透明融資」報道をめぐって、高市氏の実弟がすぐさま「ポスト」を名誉毀損で訴えたのである。しかも、訴えられたのは三井編集長だけではない。発行人の森万紀子氏に担当編集者、ライターまでをも被告にしたのだ。

 さらに、高市氏の実弟は警視庁への刑事告訴まで行い、菅官房長官自身も囲み取材で「弁護士と相談して法的措置も含めて、いま検討している」と発言、「ポスト」を提訴したともいわれている。……これはドラマ並み、いや、ドラマ以上にひどい圧力のかけ方だ。

 ところが、この後が大違い。訴訟攻撃に震え上がった小学館は、すぐさま三井編集長の更迭を決定。小学館の関係者によれば「一説には、名誉毀損裁判と編集長人事をめぐって、官邸と小学館の間で、何らかの裏取引があったのではないか」とも言われており、まさに「ポスト」は圧力に負けてしまったというわけだ。

 現実はドラマのようにはいかない──なんとも悲しい実情ではあるが、最大の問題は、このように報道にあらゆる手を使って圧力をかける政権の体質のほうにあることを忘れてはいけない。そして「週刊ポスト」には、ドラマのように強い姿勢をもう一度、取り戻してほしいと願うばかりだ。高島彩の台詞のように、「正しいことを声にできなくなったら私たちは何のためにいる」のか、わからなくなるのだから。
(田部祥太)

最終更新:2015.12.22 11:06

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