8.30国会デモに有名人が続々参加…そしてあの作家も俳優も安保法制反対の声を上げていた

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 大橋と同じように、戦争体験者として安倍政権に苦言を呈するのは、俳優の宝田明だ。満州のハルピンで終戦を迎えた宝田は、侵攻してきたソ連軍の銃弾を身体に受けた経験をもち、これまでも戦争反対と憲法9条の大切さを訴えてきた。だからこそ、現在の政治状況には怒りを隠さない。

〈国家の命運は所詮、為政者とそれを支持する一握りの者達の意志決定に委ねられている。だとしたら与党内部からも、集団的自衛権及び憲法九条の改正に対する異議を唱える人間が現れても何ら不思議ではないのだが、その気配も勇気ある言動すらも見うけられない。親方日の丸でその船に乗っていれば、身の保全が保障されるとでも思っているのか。真に次の世代を憂う清貧の士はいないのだろうか〉
〈戦争を知らぬ戦後生まれの世代が国民の代表である今、人間の歴史から見ればほんの半頁程前の愚かな出来事を直視し、無辜の民一人といえども、戦争或いは戦争に加担する事に依る死に至らしめる事の無い様、真剣に考える事が、我々が次の世代の為に残す責任あるバトンではないだろうか〉

 戦争を知る大橋や宝田の言葉はじつに重いが、一方、言葉を生業とする作家たちの寄稿文では鋭い指摘が行われている。

『優しいサヨクのための嬉遊曲』などの作品で知られ、6月に開かれた東アジア文学フォーラムの記者会見で「今の日本には史上最も好ましくない首相がいる」と安倍首相を批判した島田雅彦は、寄稿文のなかでも安倍政権が進める米国追従について〈その政治方針が五年後、十年後も有効である保証は何処にもない〉と異議を唱えている。

〈中国は日本の十倍以上の人口がある。一人当たりのGDPが日本並みになれば、経済規模も十倍になる。当然軍事力も十倍に膨れ上がり、アメリカをも凌ぐことになる。それが二十年後、三十年後の現実だ。
 憲法を憎んでさえいるウヨク施政者たちは国民そっちのけで戦争に前のめりになっているが、長い目で見れば中国とはギブ&テイクの関係を続けてゆくほかない〉

 さらにつづけて島田は、恐ろしく、しかしリアルな安保法制の未来を推論する。

〈万が一、尖閣諸島で武力衝突が生じ、アメリカが参戦を見合わせ、敗戦を喫しようものなら、日本は中国への従属を免れない。そうすれば、今までこの国を縛ってきた日米安保からも解放されるし、米軍も沖縄から出て行ってくれるだろうが、代わりに人民解放軍が宮古島や石垣島にやってくる。
 戦争をすれば、そんな冗談が現実になる日がより早く訪れる〉

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