安保法制合憲論者の巣窟! 櫻井よしこ率いる民間憲法臨調の“人権否定”憲法観が恐ろしすぎる!

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 確かに、これまでも具体性を欠いた公共の福祉の問題点については議論されてきた。曖昧な公共の福祉の概念を振りかざせば、政府は容易に人権を抑圧することが理論上可能だからだ。これは、国際連合が設置する自由権規約委員会でも懸念されている。例えば同委員会は、近年の日本政府に繰り返し次のように勧告している。

〈……「公共の福祉」の概念が曖昧で制限がなく、規約の下で許容されている制限を超える制限を許容しうることに改めて懸念を表明する〉
〈……厳格な要件を満たさない限り、思想、良心及び宗教の自由あるいは表現の自由に対する権利へのいかなる制限を課すことを差し控えることを促す〉(「自由権規約委員会 日本の第4回定期報告に関する最終見解」2014年、外務省ホームページ)

 櫻井氏らの主張は、こうした公共の福祉の議論の完全に逆を行くものだ。政府が〈公益〉を実現するにあたり障壁となるような人権を制限することのできる〈具体的なイメージ〉を憲法に盛り込むことを主張しているのだから。

 では、彼女たちの言う〈公益〉とは何か? 人権至上主義の日本国憲法では実現できない〈公益〉とは、いったい?

〈人権至上主義の考え方の基底には、個人の有する人権の価値のみを強調することによって、国家や家族などの価値を貶めようとする発想があるので、軽視できません〉
 
 どうやら櫻井氏たちが想定する〈公益〉とは、〈国家や家族などの価値〉に関係するもの、らしい。

 なるほど。国家と家族……ですか。〈国家や家族などの価値〉は、確かに大切だ。櫻井氏たちにはその大切さ、かけがえのなさついて、これからも人々に伝えていってほしい。居酒屋とかで。

 しかし、それを改憲論として主張するのは、お門違いだ。そもそも憲法の本義は、国家の暴力から個人の人権を守ることである(そう。櫻井たちの否定する〈人権至上主義〉だ)。〈国家や家族などの価値〉を守りたいという主張は、個人の信条としては立派かもしれない。だが、それを憲法の話として語られると近代国民国家に生きる我々としては、ただただ失笑するしかない。櫻井先生、それは憲法とは別物です!と。

 ようするに、櫻井氏と民間憲法臨調は先の戦争を経て日本がようやく手に入れた近代人権思想を捨てさせ、戦前の大日本帝国憲法に引き戻すことで、再び国民が国家のために命を捧げる体制をつくりあげたいということだろう。

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