憲法記念日特別企画

改憲派の憲法学者が安倍政権の改憲を批判する理由…愛国の義務化で“非国民”再教育制度が!

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 これは「法は道徳に踏み込まず」という大原則を自民党が理解していないからだという。こうした“上から目線”の条文が全編を覆っているのが、自民党の憲法改正草案なのだ(小林氏は「改悪」と言っている)。憲法で国民を躾けようという発想は、国会議員が家業になっている世襲貴族のものだ、と小林氏は喝破する。

〈安倍首相や自民党の憲法観は、権力者がわれわれ国民を管理するという発想で、強いものが弱いものを支配する構造なんです。自民党の人たちは二世三世議員が多いから、自分たちはずっと権力の側にあるという前提で考えているんでしょう。だから国民に国を愛せだとか、いまの憲法は権利が多すぎて義務が少ないなんておかしな主張が出てくる〉

 先に小林氏はなぜ変節したか、と書いたが、実は小林氏の憲法への姿勢は昔から一貫しており、いまも改憲論者であることは変わっていない。大前提として現行憲法の三大原理(国民主権、平和主義、人権尊重)は人類の歴史的体験から生まれた究極の真理として尊重する。その上で、この三大原則がきちんと機能するよう、変化した時代にも対応できるように、条文を改良(バージョンアップ)しようという立場だ。

 9条についても、平和主義をより明確にするため全面的に書き直し、(1)侵略戦争の放棄、(2)自衛権の留保と自衛隊に対する文民統制、(3)国際貢献の用意――を明示するとしている。

 こうした改憲論者から見ても、いまの自民党の改憲論は危なすぎる、ということなのだ。

 いまの安倍政権の勢いを考えると、数年以内に国民投票が実施されるのは確実。自分たちの権利が大幅に制限され、思想や家族のあり方までが強制されるとんでもない事態になる前に、国民はそろそろ憲法問題を“自分ごと”として考えるべきではないだろうか。
(野尻民夫)

最終更新:2015.05.04 11:03

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