さらば“嫌韓反中本”! ついに誕生した「反ヘイト本屋」に行ってみた

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「書肆スウィートヒアアフター」店主・宮崎勝歓さん


 迎えてくれたのは宮崎勝歓(かつよし)さん。色白・メガネの大人しそうな、36歳の男性だ。本当にこの人が「闘う本屋」の主なのだろうか?

 さっそく棚を見せてもらう。書肆スウィートヒアアフターでは、新刊と古本を両方扱っている。壁際には黄色(古本)と水色(新刊)の可愛らしい本棚が交互に並ぶ。そのなかでひときわ存在感を放つ水色の棚を見てみると──『「在日特権」の虚構』(野間易通/河出書房新社)、『ルポ京都朝鮮学校襲撃事件』(中村一成/岩波書店)、『朝鮮人はあなたに呼びかけている』(崔真碩/彩流社)など、たしかに「反ヘイト」本たちがズラリ。しかし一体、宮崎さんはなぜこのような棚を作ろうと思ったのだろうか?

 宮崎さんは大学卒業後、神戸大学大学院でナショナリズムをテーマに研究を行っていたが、さまざまな事情が重なって09年に退学。11年12月から、三宮の新刊書店でアルバイトとして働き始めた。しかし、新刊・大手書店の品揃えには物足りなさを抱くこともあった。

「働いていた本屋さんは『昨日テレビで芸能人がこの話をした』とか『昨日のワイドショーでこの料理レシピが取り上げられた』という情報をいかに素早く仕入れるかに専念しているようなところ。置いている本はある意味すごくわかりやすかった。一方で、ジュンク堂や紀伊国屋のような大型書店に行けばなんでも置いてあるけど『大きすぎてしんどい』『探すのが大変』という意見を周囲から聞いたし、僕自身もそう思っていました」

 働き始めて2年目の13年秋、ショッキングな出来事が宮崎さんを襲う。それまでひそかにファンだった元町の「海文堂」という本屋が閉店してしまったのだ。「海文堂の棚はひとつのテーマを決めてメジャーな出版社、中堅どころ、マイナー出版社の本を平等に置いている。『こんな本あるんや』って、その棚からいっぱい教えてもらった」。

 海文堂のような棚づくりを継承したい──その思いが、本屋開設に向けて宮崎さんの背中を押した。

 14年の4月には開店事業に着手し、6月にはクラウドファンディングに応募。物件を押さえオープンの準備にいそしんでいた9月、宮崎さんはFacebookでとあるページを発見する。それが冒頭で紹介した「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」のページだった。会の存在に興味を持ち、当時行われていたヘイト本に関する書店員アンケートに回答をしたことから、宮崎さんは徐々に問題と関わりを持つようになっていく。

「出版関係者の会ができたのとほぼ同時に、ヘイトスピーチの問題に興味を持ち始めました。新大久保でのデモや京都の襲撃事件については新聞やテレビのニュースで知ってはいたんですけど、自分と結びつけては捉えていなかった。でもあるとき、大阪の鶴橋でもデモが行われていたと知って『自分の近くでもずっとやっていたのか』と衝撃を受けました」

 ヘイトスピーチの問題について調べていくなかで、動画で「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も殺せ」という在特会の有名なプラカードを見たことが宮崎さんの危機意識に火をつける。その後は自分でも実際に何度かデモ現場に足を運んだ。当時はデモに対するカウンター(抗議運動)も大きくなっていた時期で「カウンターの声にかき消されて、ヘイトスピーチをやっている人たちの声はほとんど聞き取れなかった」。

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