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安倍政権のテレビ局への圧力は「放送法」の拡大解釈だった! メディア法の専門家に聞く

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──第1条の「放送の不偏不党」、それから4条の「政治的公平」は一見似た言葉に思えます。2つの言葉の意味はどう違うのでしょうか?

「1条の『不偏不党』は文字通り『偏らないでちゃんと放送しなさい』ということです。ただ1条の狙いは放送内容の制限ではなく『自由な放送』を保障すること。数的に制約があるなかで、言わば選ばれて免許を受けた放送局ですから何を言ってもいいわけではないということで『不偏不党』という言葉をかぶせていますが、重点は後半の『真実及び自立の保障』にあります。
 これに対して4条の『政治的公平』はその1条を受けて放送局自身が公正さをどのように実現するかについて考えるためのものです。ポイントはあくまで『放送局から視聴者への約束』という意味合いであること。例えばある政治的な出来事に対して、AとBという意見で賛否が分かれるなら、あまり極端な取扱いはせず、両者の言い分を紹介する。こうしたことを視聴者に約束しているんです」

──局の自律性や、本来の意味での「公平さ」が守られていれば、最近のような事態は続いていなかったはずです。いつから状況が変わってしまったんですか?

「ターニングポイントは1993年の通称『椿事件』です。当時、テレビ朝日の報道局長であった椿貞良氏が、民間放送連盟(民放連)の内輪の勉強会で『非自民政権が生まれるよう報道せよと指示した』と発言をしたと産経新聞が報道し、『政治的公正さが守られていない』と国会で騒ぎを呼ぶ事態へと発展した。
 それまで放送法4条はあくまでも放送局の自律の問題だと解釈されていました。にもかかわらず93年に郵政省(※2001年1月、総務省に統合)の江川晃正放送行政局長が『政治的公正は最終的には郵政省が判断をする』(衆院逓信委員会、1993年10月27日)と初めて答弁をする。歴史的な大転換が起こったんです。椿事件以降、国が放送内容に口出しをする割合が明らかに上昇しました。1985~2009年の間の指導件数は合計31件ですが、1999年までは年1~2件程度だったものが、2004年以降は毎年3~6件もの数に及んでいます」

──2004年から指導件数が上昇しているのはなぜなんでしょう?

「2004年は安倍さんの時代なんですよ。厳密には小泉第三次政権ですけど、この期間に行政指導が急増したのは、安倍さん(自民党幹事長を経て2005~06年まで内閣官房長官、2006~07年まで内閣総理大臣)が主導していたからです。第一次安倍内閣のときには、総務大臣が菅さんだった。安倍&菅コンビで行政指導を多発させて、放送局をいじめ抜いたんです。今起こっているのはその再来。彼らの存在は、放送局にしてみると恐怖なんですよ。菅さんはこうしたことを全部わかった上で発言をしているから、放送局もこれに従わざるを得ないという状況が生まれているんです」

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