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安倍政権のテレビ局への圧力は「放送法」の拡大解釈だった! メディア法の専門家に聞く

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専修大学教授・山田健太氏

──現在、とりわけテレビという媒体に対して政権からの圧力が集中しているように思いますが、なぜですか?

「『免許制』というしくみに大きな関わりがあります。国内の放送局は原則として、ライセンス(免許)を得なければ放送を行うことができません。出版など他媒体との大きな違いもそこにあります。
 免許制にかかわる法律は国内に2つあります。1つ目は、無線局への電波割り当てなど技術面を定めた電波法。もう1つが、放送事業体や番組内容のありかたを定めた放送法。両者は言わば表裏一体の関係になっています。
 車の免許だと、1回取ってしまえばあとは更新制になる。でもテレビは違う。5年おきに、一から審査を受け直さないといけないんです。そこで審査をするのは総務省(※2001年まで郵政省)。未だかつてそこで免許取り消しの事態が生じたことはないんですけど、総務省にとってはいつでも『お宅の放送はアウト』と言える状況にあります。
 恣意的な濫用を防ぐためにも、本来は規制監督を行う第三の機関(独立行政機関)が必要です。けれども日本にはそれがありません。世界的に見ても非常に珍しい国なんです」

──菅官房長官、橋下大阪市長などが放送法を持ち出して放送局や出演者を攻撃する状況も続いています。これらは理に適ったことといえるのでしょうか?

「法の大前提として、放送法ではどのような番組を流すかを放送局自身が判断するよう定めています。菅さんや橋下さんが『あの発言は公正でない』と個人として思うのはいいと思いますよ。でも、政治家として放送局にそれを持ち出すのは避けなきゃいけない。橋下さんは政党の代表で、当然ながら行政に対する影響力がある。ましてや、菅さんは大臣ですからね。筆頭大臣がそういうことを言うなんて、普通ありえないです」

──では、放送法の本来の目的とはどのようなものですか?

「大きな特徴は、法が『民主主義のためのもの』と定められていることです。つまりいったんライセンスを受ければ、誰からも制約を受けず放送ができるように、国は邪魔をしないということです。
 これは法が第二次世界大戦後、憲法で定められた〈表現の自由〉を電波の分野でも体現するため制定されたことと関係しています。免許を与えるのが国なので、放っておけば放送内容への介入が起きやすくなってしまう。その防止を保障するための法律なんです」

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