勉強時間30分なのに東大合格者多数! 自由で変な進学校「麻布」の秘密

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 最大の謎はそれでもなお、東大合格率が高いことだ。その理由として興味深い証言が記されている。それが30年以上麻布で教師を務める山岡幹郎教諭の麻布論だ。

「こんなに勉強しない受験校はないですよね(笑)。コイツはなんにも勉強していないだろうなという生徒が、一浪くらいで東大に受かってしまう(略)それで得た僕の一応の結論は『麻布生には野蛮な集中力がある』ということです。だいたい彼らはクラブ活動を引退する高二の夏・秋か、なかには高三から勉強を始める者もいます。勉強を始めるとすごい集中力を発揮するんですね。どこでそんな『野蛮な集中力』を得たかというと、小学校時代の塾なんです」

 コツコツ勉強する原体験があるからこそ、いざという時に集中できるというわけだ。しかしそれは他の難関校も同じではないのか。いやそれが違うらしい。

「中一の生徒に会うと知的好奇心でキラキラしていますよ。でもそこから好奇心が下降して中三・高一くらいで最悪になり、高二ぐらいから『さすがにヤバイ』 となって高三で再びあがる。でも人生においてはこれが大事なんです。ヨーイドンのあとに何もしないマイナスの時期があって、いったんうしろに下がるのが麻布なんです」

 中学受験が終わり、高二までの5年間ほど青春を謳歌し、友達とつるみ、自由に過ごすことで、ラストスパートへの集中力が高まるというのだ。そしてその間、学校では何を教えているかと言うと「批判精神」「自己表現」だという。

「生徒には僕と反対の立場でも構わないから、批判精神をもってほしいと思います。教育論風に言うと、自己形成のなかでは自己を対象化していく作業が求められていくはずで、生徒はどこまでそれをできるのか自分自身に対する批判も含めて、相手を対象化して論ずる姿勢がないといけないでしょう」(山岡教諭)

 また国語の中島克治教諭も書く力と自己表現についてこう語っている。

「麻布は徹底して書く力を磨く。もともと入試問題で『書ける』子が入ってきて、そこからさらに磨く。社会に出てから麻布の卒業生の個性が際だって見えるのは、書くことを通じて徹底した自己表現の訓練をうけているからかもしれない」

 当然、議論も活発だ。国語の授業中、開高健の『輝ける闇』(新潮社)から政治の話になり、消費税を上げるべきか否かといった議論にまで発展することもあるという。生徒たちの個性を尊重する、自由闊達な校風。教師たちもそれを理解し、押し付けることなく生徒たちの個性をさらに伸ばしていく。

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