年末特別企画 リテラの2014年振り返り

トンデモぶりに背筋も凍る!? 冬の「ヘイト&嫌韓本」ワースト5

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★第1位 八木秀次「拉致被害者救出運動をヘイトスピーチと同じ括りにすることで世論の支持を失わせ、無化させようとする思惑があるのではないかと思われて仕方ない。外国勢力の関与も疑われる」
「正論」(産経新聞社)2015年1月号「韓国・中国批判ができなくなる日 弊誌まで『差別媒体』にされる!?」

■ヘイトスピーチは反日外国勢力の仕業!?  安倍ブレーンの“陰謀脳”が止まらない■

 八木秀次といえば、安倍首相のブレーンである保守論客。しかし、その言説は保守というより、とにかく安倍首相を擁護し、批判勢力を攻撃することだけを目的としているとしか思えないものだ。
 今年の春には、天皇の護憲発言について「両陛下は安倍内閣や自民党の憲法に関する見解を誤解されている」「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」と批判して(『正論』5月号)、物議をかもした。
 その八木センセイが、このところ、ヘイト批判を抑え込もうと躍起になっている。たとえば、『正論』2015年1月号ではこんなふうに書く。
「安倍政権や支持層の保守派団体・言論人を、下品な『ヘイトスピーチ』を行ってきた在特会(在日特権を許さない市民の会)やネオナチ団体と無理に結び付け、一網打尽に“悪”のレッテルを貼ろうとする動きがある。それも海外メディアを焚きつけて、国際社会に安倍政権が危険な思想の持ち主と特別の関係があるかのような印象操作を行っている」
 そして、海外メディアをはじめとする報道を「悪意に満ちたこじつけ」「妄想も甚だしい」と批判するのだ。
 だが、安倍首相及び安倍内閣の面々がヘイト勢力とがっつりつながり、利用してきたのはどう弁明しようともまぎれもない事実だ。
 そもそも、安倍的なものの本質がヘイトであることは、安倍のブレーンである八木センセイも証明している。八木は「私は在特会の『ヘイトスピーチ』と批判されるような行動には与しない」と言いながら、こんなことを書くのだ。
「同じような括りにされて甚だ迷惑であり、彼ら(在特会)の行為は確実に反日的な左翼や外国勢力を利するものだと考えている」
 拉致問題解決のための集会後のデモで、「全ての朝鮮人を東京湾にたたき込め」というシュプレヒコールが上がった問題についても同様だ。八木センセイは横田滋・早紀江さん夫妻が、なんであんなことを言うのか、拉致問題とヘイトスピーチが一緒に語られるのは耐え難いと批判したと指摘しつつ、タイトルにあるように、ヘイトスピーチをしているのが「外国勢力」であるかのような陰謀論をわめきたてるのである。
 また、平成25年2月、大阪の鶴橋で行われたデモで14歳の女子中学生が「南京大虐殺を知っているだろう、あんたたちが出ていかなければ鶴橋大虐殺をやりますよ」と演説した件では、「筋のいい『右派』ならば、南京大虐殺を全面肯定したりはしない。中学生の発言は南京で大虐殺を日本人が起こしたという前提でそれを鶴橋でも起こしてやろうというものだ。右派の発言とも日本人の心性とも思えない」と、これまた外国人の関与をほのめかすのである。
 自分たちに都合の悪いことがおきるとすべて外国人のせいにするというこの陰謀論こそ、ヘイトの最大の特徴ではないか。
 実際、八木センセイはこの記事の中で、さんざん自分たちとヘイトスピーチはちがうと言いながら、「『正論』に掲載されているような主張や韓国や中国への正当な批判すら『差別』とされる可能性は大だ」といい、反ヘイトの動きを「これは新種の『保守バッシング』と言っていい」と本音をもらしている。
 自分たちが言論弾圧をしておいて、批判が出てくると、被害妄想的なヒステリーを起こすところも安倍首相とそっくりではないか。 
 わかりやすいヘイトスピーチではないが、レトリックの狡猾さや政権への影響力を考えると、この人物をワースト1にあげないわけにはいかないだろう。

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