C.R.A.C.野間易通「ネット右翼の15年〜『自由』が民主主義を壊していく」第3回

高市早苗はいかにして“ネオナチ”と出会ったか──「行動する保守」の源流

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 人種優越主義を掲げ外国人排斥を訴えるヒトラー主義者が街頭でイラン人に暴力を振るい、野村秋介を始めとした新右翼が政治言論に進出し、自民党幹部がヒトラーの選挙戦略に学ぼうという本を出す。90年代前半はそういう時代だった。

 そして1995年。

 この年は年頭に阪神大震災、3月に地下鉄サリン事件という、2つの大きな事件が日本の社会を揺るがしたことで記憶されているが、実は右翼と歴史修正主義の台頭という面でもエポック・メイキングな年だった。サリン事件直前の2月に「マルコポーロ事件」が起こり、年末には魚谷哲央を代表として維新政党・新風が結成されるのである。新風の現代表・鈴木信行はVICE JAPANが今年製作したビデオ映像の中でも山田一成と対談し、「共闘していく」と語っている。この維新政党・新風は、後の2007年に瀬戸弘幸を参院選候補者として擁立し、その年の末には副代表に据えている。

 2014年になって、それまで日章旗と旭日旗が掲げられていた「行動保守」のヘイト・デモに、堂々とハーケンクロイツが掲げられるようになった。これらのデモを主催しているのは、その瀬戸弘幸の弟子にあたる「NPO法人外国人犯罪追放運動」理事長有門大輔とその周辺の人物たちである(名目上の主催者はその都度変わる)。この有門大輔は、94年にテレビ放送された国家社会主義者同盟のドキュメンタリーを見て上京し、瀬戸に師事するようになった人物だ。すなわち、90年代に台頭したネオナチは現在まで脈々とその勢力をつないでいて、現在のヘイトスピーチ問題の中心的な位置で活動しているのである。

 高市早苗は、マスコミの取材に答えて「山田一成がどんな人物か知らなかった」「不可抗力だ」と弁明した。しかし政治とあまり関係のない一般人ならともかく、自分が政界に進出したちょうどその頃にマスメディアで社会問題として取り上げられていた新興ネオナチ勢力を「知らない」ということがありうるのだろうか。また、この面会は雑誌『撃論』(オークラ出版)の取材として行われたものだったが、この『撃論』はいわゆるネトウヨ雑誌で、在特会の桜井誠の対談記事や原稿を頻繁に掲載していたものだった。少なくとも彼女が山田と会った2011年の段階では、こうした雑誌の取材を受けることを不可とはしなかったのであろう。

 山田についてはNSJAPの代表という顔とともに、雷韻出版という出版社の社長であるという顔もあった。この出版社は、2000年頃に自民党の依頼で対共産党謀略本を出版したという前歴もある。仮に高市や稲田が山田の顔を知らなかったとして、自民党幹部が山田一成を認識していないということはありえない。次回はこの山田とともに写真に収まったもうひとりの閣僚、稲田朋美が「ネット右翼」的にどんな需要のされかたをしてきたかを見てみたい。
(野間易通)

■野間易通プロフィール
1966年生まれ。フリー編集者。首都圏の反原発運動を経て、2013年1月に「レイシストをしばき隊」を結成。排外デモへのカウンター行動の先陣を切る。13年9月にしばき隊を発展的に解散。新たに反レイシスト行動集団「C.R.A.C.」(Counter-Racist Action Collective)として活動を続ける。著書に『金曜官邸前抗議』『「在日特権」の虚構』(ともに河出書房新社)などがある。

【C.R.A.C.野間易通「ネット右翼の15年~『自由』が民主主義を壊していく」連載まとめはこちらから→(リンク)】

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

風と拳銃 ~野村秋介の荒野~

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

高市早苗はいかにして“ネオナチ”と出会ったか──「行動する保守」の源流のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。ネット右翼の15年野間易通の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
2 恐怖!安倍政権が存続した未来はこうなる
3 安倍の秋葉原街頭演説が極右集会そのもの
4 衆院選極右候補者「ウヨミシュラン」
5 安倍政権にNOを突きつける芸能人
6 中原昌也「安倍応援団はあまりに下世話」
7 安倍は経済・社会保障でも嘘つきまくり
8 『朝生』で百田尚樹が徹底論破され大恥
9 中村文則「この選挙は決定的な岐路に」
10 美輪明宏が安倍と支持者を一喝!
11 平野、ケラ…作家たちが安倍政権にNO
12 見城AbemaTV安倍ヨイショとテレ朝
13 救う会元幹部が安倍の拉致利用に怒り
14 博士、町山が安倍と見城の癒着批判
15 葵つかさが「松潤とは終わった」と
16 イノッチが夫婦別姓反対派を一蹴!
17 安倍が神戸製鋼社員時代に不正に関与?
18 安倍政権忖度でドキュメント番組が改変
19 「不倫学」が教える防止策とは?
20 山本太郎、改憲翼賛体制とどう闘う?
1山本太郎、改憲翼賛体制とどう闘う?
2安倍、森友加計問題の説明する気なし
3マツコ「安倍首相は馬鹿」にネトウヨが
4安倍「妻は籠池さんに騙された」と言い逃れ
5高江ヘリ事故に安倍首相「功績」アピール
6田崎史郎のトンデモ安倍擁護に玉川徹が
7美智子皇后が誕生日談話で安倍にカウンター
8中原昌也「安倍応援団はあまりに下世話」
9安倍の秋葉原街頭演説が極右集会そのもの
10自民党がテレビを恫喝しネトウヨ煽動!
11加計関係者を判事に!安倍の司法私物化
12安倍首相が日報問題でも口封じ人事!
13原発事故の主犯は安倍、裁判所の判断も
14中村文則「この選挙は決定的な岐路に」
15小学8年生の安倍伝記漫画が反日と炎上
16長谷川豊の自己責任論こそ維新の正体!
17ノーべル賞ICAN の足を引っ張る安倍
18安倍は経済・社会保障でも嘘つきまくり
19安倍政権にNOを突きつける芸能人
20博士、町山が安倍と見城の癒着批判

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

連載一覧へ!

アベを倒したい!

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」