C.R.A.C.野間易通「ネット右翼の15年〜『自由』が民主主義を壊していく」第3回

高市早苗はいかにして“ネオナチ”と出会ったか──「行動する保守」の源流

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「行動する保守」とは、在特会をはじめとした嫌韓・嫌中レイシズムを基盤にさかんに街頭行動を行う一連の勢力を指す。この名称は、行動保守と略されることも多い。その始祖のひとりが主権回復を目指す会の西村修平で、在特会の行動スタイルにも大きな影響を与えた彼は実は毛沢東に強い影響を受けている。いわば、極右思想のもとに文化大革命と紅衛兵を再現しようとしていた人物だと言える。

 そしてもうひとつの源流が、山田一成らの国家社会主義思想、すなわちネオナチズムなのだ。NSJAPのウェブサイトのコピーライト表記が©1982-2012となっているようにこの団体が発足したのは今から30年以上も前だとされているが、実際に表舞台で話題になったのは90年代に入ってからである。

 91年、山田一成のNSJAPは、民族思想研究会や世界戦略研究所など4つの団体からなる国家社会主義者同盟の一員となる。この世界戦略研究所とは、瀬戸弘幸の団体だ。瀬戸は西村修平と並んで行動保守の親玉、ボスキャラとも言える立ち位置にいる人で、今でも自ら「極右」を名乗り、行動保守系のデモなどにしょっちゅう顔を出している。2000年代終わり頃「ネット右翼を組織する」と明言して、2ちゃんねるやミクシィなどに積極的に進出していたのも彼で、それまでネット上の蔑称にすぎなかった「ネット右翼」という言葉を、IT世代の右翼思想を担う勢力として肯定的に使っていた。このことに衝撃を受けたのを私は覚えている。

 山田と瀬戸が90年代初頭に何をしていたかというと、東京に多く滞在していたイラン人の排斥である。92年にビザの相互免除協定が廃止されるまで、イラン人はノー・ビザで日本に入国することができ、ちょうど88年のイラン・イラク戦争終結後から90年代にかけて、日本にやってくるイラン人が急増した。休日には代々木公園や上野公園に多くのイラン人が集まり、イラン料理や海賊版の映画ビデオや音楽カセットを売る屋台なども出て賑わっていた。そこに街宣車で乗り付け、ときに暴力を使って彼らを排斥していたのが山田や瀬戸らのネオナチだったのである。

 この国家社会主義同盟および山田のNSJAPの活動は、テレビのニュース番組などでもしばしば取り上げられ、長尺のドキュメンタリー番組が放送されたこともある。その多くは、「日本にもネオナチ思想が登場」として奇異なものを見るような視点で興味本位に取り上げるものだったが、その背景には、少しずつ力を増しつつあった右派言論の存在があった。

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