「エボラ上陸騒動」で感染疑いのジャーナリストを叩く安倍支持者の幼児性

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
ebora_01_141029.jpg
各誌10月28日東京朝刊の切り抜き(左から産経、朝日、毎日、東京新聞)


 日本人の正義は完全に変わってしまったのかもしれない。「エボラ日本上陸か」の第一報以降、エボラ感染を疑われた男性へのバッシングを見ていて、つくづくそう感じた。

「まじで西アフリカからとか帰って来ないで欲しい。」
「なんでわざわざこんな危険なところに行くんだよ! クソが」
「ほとぼりさめるまで帰ってくんな」
「ついにエボラか…だから鎖国しろって言ったんだ」

 自国のこと以外一切考えず、自分の今いる場所が世界とつながっているという意識もない。自分たちとちがう価値観で外の世界を知ろうとする者を異物扱いしてヒステリックに叩く。まさに“島国根性”丸出し。

 しかも、ネットユーザーたちはこの男性がジャーナリストだと知って、さらにバッシングを激化させる。

「ジャーナリストって害しかもたらさない」
「真実を伝えるとかいって、国民に迷惑をかけてるんじゃねえぞ」
「自分が巻き込まれて、税金使って助け出されたり、日本中を危険に晒したりしてりゃ世話ないわ」 
 
 連中は普段、自分たちがああだこうだと勝手なコメントをタレ流しているニュースの大元の情報がどうやってもたらされているかもわからなくなっているようだ。本当に新しい情報はネットをいくら眺めていても得られない。ジャーナリストが世界のさまざまな場所、事件が勃発している現地に出かけて取材をすることで、はじめて知ることができる。当然、そこには銃撃戦に巻き込まれたり、人質としてとらえられたり、伝染病に感染したり、法を犯して拘束されるリスクもつきまとう。しかし、それでも取材の自由を認め、取材活動で危機に陥った場合は国家がジャーナリストを救い、助ける。それが民主主義国家であり、「知る権利」を保護するということなのだ。

 考えてみればいい。もし西アフリカが危険地帯だから一切行くなとなったら、そこにいる人たちは誰が助け、そこで起きている危険を誰が我々に伝えるのか? それこそ、医師やジャーナリストが危険を冒して活動しているからこそ、遠くの国に住む我々にエボラの危険性が伝わってくるんじゃないのか。

 それとも、そういう活動はアメリカ人にでもまかせておけ、日本人は一歩たりとも海外に行くなとでもいうつもりなのか。

 彼らは普段、「自分の国は自分で守れ」とか「日本人の誇り」とか勇ましいことをいっているんじゃなかったのか。それが、いざほんとうに自分が巻き込まれそうになると、ヒステリックに「迷惑かけんな」とわめき立てる。こういうネットの論調を見ていると、その口にのぼっているナショナリズムが、実は強い国家に自分を守ってほしいという幼児的な保護願望でしかないことがよくわかる。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

「エボラ上陸騒動」で感染疑いのジャーナリストを叩く安倍支持者の幼児性のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。エンジョウトメネトウヨマスコミの記事ならリテラへ。

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄