出会い系売春で生き延びるしかない シングルマザーの過酷な実態

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 もう1人、小学校3年生の息子を持つ未婚のシングルマザー、ユウのケースもその動機は似通っている。10代で援助交際を経験したというユウは、高校卒業後はキャバクラで働き、SMの女王さまも経験した。いわば水商売しか経験したこともなく、未婚のまま子どもを産み、そして子どもが3歳になると子どもを託児所に預けワリキリを始めた。
「今は、子どもが小学校に行っている間にワリキリしている。子どもは普通に学校行って、その後は学童保育に行って。で、あたしが仕事終わったら迎えにいくみたいな」(同書より)

 彼女も子どもの時間に合わせて「夜7時には帰路に着く」という規則正しいワリキリで生計を立てて子育てをする。
 また、あるシングルマザーは子どもを寝かしつけてから、自宅ワリキリをする。
「子どもを寝かしつけてからワリキリで稼ぐんだけど、でも、まだ(子どもが)小さいから、家にひとりではおいていけなくて。だから自宅に男性を呼んでするの」(同書より)
 寝かしつけた子どもの隣で初対面の男性と売春することには衝撃を受けるが、そうせざるを得ないのもまた「子どもをひとりでおいていけない」という親の心情というのが切ない。
 こうして自らの身体を使ったワリキリでお金を稼ぎ、その報酬で子どもを育てる──。
「この社会はとても脆弱なもので、いかにも頼りない。だから彼女たちは、生き延びるための手段としてワリキリを選択した」

 著者がこう記すように、彼女たちの多くは家族からも社会からも孤立している。学歴もキャリアもなく、頼る人もいない女性が子どもを抱えて生きて行くための手段がワリキリであり風俗──それが豊かであるはずの日本の現実だ。
 しかも、彼女たちはワリキリを楽しんでいるわけではない。

「買う男はキモイ。苦痛なだけ。気持ち悪い」(リオ)
「ワリキリでのセックスは、面倒だと感じる」「何も感じない」(ユウ)
 
 問題はそのしわ寄せが母親だけでなく子どもたちにも及んでいくことだ。前出のリオはワリキリ生活などで精神状態が安定せず抗うつ剤を飲んでいるという。
「(出会い)喫茶は本当、病んでる子が多い。聞くと、みんな安定剤飲んでるとか、手首切ったことがあるとか。その原因は彼氏だったり、親だったり、いろんな理由がある。本当にいろいろ。一概にこれっていうのはないんだけど、病みやすいよね。みんな病む。すぐに病む」(同書より)

 こうした悪循環は必然的に子どもたちへ向かう。10年には大阪で23歳の風俗嬢が2人の幼児をマンションに50日間も放置して餓死させる事件が起こったが、これも風俗で働く母親のひとつの “現実”だ。
 こうした母親、女性たちを個人的資質として貶め、蔑み、批判し、切り捨てるのは簡単だ。だが、その背後に貧困、格差、女性蔑視という社会的構造があり、それが子どもたちへのネグレクト、虐待に連鎖していることを決して無視するわけにはいかない。
 今、日本の全国民がこの状況を直視すべき時だ。
(伊勢崎馨)

最終更新:2018.10.18 03:18

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彼女たちの売春(ワリキリ) 社会からの斥力、出会い系の引力

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