復活したマスコミの電力会社タブー! 朝日の関電裏金報道も黙殺

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 そして、電力会社はこうした金の力をバックに、実際にメディアに圧力をかけ、批判を封じ込んできた。たとえば、電事連の広報部長であった鈴木建という人物の回顧録『電力産業の新しい挑戦─激動の10年を乗り越えて』(日本工業新聞社)のなかには、電事連が当時、「政治を暮しへ」というページを設けて、原発反対キャンペーン記事を掲載していた毎日新聞に対して、自らこんな圧力を加えて記事をつぶしたことを自慢げに書いている。

「消費者運動を煽って企業を潰すような紙面づくりをやっていたのでは、広告だってだんだん出なくなりますよ」

 また、先に紹介した『原発広告』では、広島テレビで92年から93年にかけて放送した『プルトニウム元年』というドキュメンタリー番組をめぐる圧力劇が紹介されている。番組放送後、中国電力は「電気料金値上げに伴う広告費予算カット」を理由として、同局のスポーツ番組のスポンサーを降板。この『プルトニウム元年』は93年に「『地方の時代』映像祭グランプリ」を受賞していたにもかかわらず、その2年後に報道制作局長やプロデューサーら計4名が営業局へ異動となったのである。

 3・11の直後、こうした構図の一部が明るみに出て、“メディアも原発事故の共犯”と批判を受けた事で、新聞、テレビ、週刊誌も一時的に電力会社批判を解禁せざるをえなくなっていた。しかしそれが今になって、またぞろ共犯関係を復活させつつあるということらしい。

「原発事故から1年くらいたってからでしょうか、電事連の幹部が新聞やテレビ各社の幹部と密会したり、一部の電力会社が露骨に媒体の選別をして広告を出稿するなどして、マスコミ各社にプレッシャーをかける動きがでてきた。それが、安倍政権になって原発再稼働に方針転換したことで、一気に勢いづいた。メディアの側も再稼働のPR広告で再び巨額の広告費が動く事を見越して、電力会社にしっぽを振っているという構図です」(川端)

 メディアと個人を浸し漬ける“カネという名の阿片”。前述の元関西電力副社長・内藤千百里氏は、朝日新聞に対して、なんともおっぴろげにカネの出所を説明している。

「政治家に盆暮れのあいさつで渡す献金は電気料金から出てますねん。官僚、政治家、学者との宴席代ももちろん電気料金。本社や支店長の専用車、専用の運転手も、役員のゴルフ会員権の費用も、すべて電気料金。ね、玉手箱。」(『朝日新聞』7月31日朝刊)

「状況はコントロールされている」──。これは、東京オリンピック誘致を決めたIOC総会の場で、安倍首相が福島原発の汚染水漏れについて説明した言葉だ。だが、この言葉は同時に、日本のマスコミと原子力ムラの関係を表していたのかもしれない。その結果が今回の“朝日新聞スクープ黙殺”という現象だった。そんな気がしてならないのである。
(梶田陽介)

最終更新:2014.08.04 01:02

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