復活したマスコミの電力会社タブー! 朝日の関電裏金報道も黙殺

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 周知のように、かねてから電力会社はメディアを“カネ漬け”にすることで、事実上の圧力をかけていた。11年4月13日参議院予算委員会で参考人として招集された東電社長(当時)・清水正考氏は「マスコミへの広告・宣伝費は約90億円、交際費は約20億円」と答弁した。ところが、日経広告研究所の調査では、09年度の年間広告費は243億円、販売促進費が238億円であったことが判明している。

 また、電力会社11社の広告費の合算に、電気事業連合会(電事連)などの業界団体、その他関連企業、原子力関連の広告予算が組まれている資源エネルギー庁などの「費用」を足し合わせれば、原子力・電力業界の広告宣伝費は、年間1000億円をゆうに超えるという見解もある。

 電気事業は競争相手のいない独占状態であることを考えると、これは異常な額だ。新聞業界に関して言えば、電力会社からの広告出稿料は売上全体の約3割とも言われている。とりわけ読売新聞は、“原発の父”正力松太郎が社主ということもあって、70年代から大量の“原発PR広告”を掲載してきた。

 テレビ局の経営は、さらに広告への依存度が高い。広告業界と電力業界の関係について、博報堂で営業を務めていた本間龍氏の著書『原発広告』(亜紀書房)のなかに、興味深い記述がある。

 普通のスポンサー企業の場合、限られた予算のなかで「視聴率がよくて価格が安い」つまりコストパフォーマンスの高い番組を買い付ける。また、視聴者層がまんべんなく行き渡るよう、番組のジャンルや放送時間が偏らないようにバランスを考慮するという。ところが、東電や電事連の場合、通常のスポンサーセオリーとは明らかに異なるというのだ

 たとえば、東電が11年8月時点でCM提供を行っていた主な番組は、『news every.』『情報ライブ ミヤネ屋』『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)、『スーパーJチャンネル』『報道ステーション』(テレビ朝日系)。また電事連は、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)、『ひるおび!』(TBS系)、『ニュースJAPAN&すぽると!』(フジテレビ系)、『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)の番組スポンサーである。一見して分かるとおり、ほとんどが午後のニュース番組に集中している。

「これらのスポンサードは東電・電事連・NUMOなどの各法人がバラバラで計画しているのではなく、誰かが全体を俯瞰して万遍なくコントロールしている印象を強く受けます。東電はじめ電事連は長らく電通が担当していたことから考えても、電通が一括して全体のメディアバイイングを担っていて、報道番組買い占めによる『報道番組シフト』を敷いていたように見えるのです」(同書)

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