『ONE PIECE』は“反日”を乗り超えるための書だった?

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 さらには「実際に『ワンピース』の文学的な側面を見るために、文字数を調べてみた」という奇怪な行動も。長谷川アナの調べによると『ワンピース』740話では17のページ数のなかに1953文字が入っていたそうだ。「週刊少年ジャンプ」のなかから「ランダムに選んだごく普通の漫画」は「なんと文字数が842文字!」と誇らしげに比較する。

 曰く、その「驚異的な」字数が『ワンピース』の「文学性」を支えているらしい。ちなみに筆者の愛読書『SLAM DUNK』(集英社)の#275を見てみたところ、台詞は主人公桜木花道の「左手はそえるだけ…」のみで、わずか9文字だった。あくまで参考である。他意はない。

『ワンピース』を褒め讃えたいのは分かった。それで結局、「反日問題」とどう関係するんだよ?とやきもきしていると、第3章でようやく本格的な考察が始まる。この世界の「正体」を暴いていくらしい。胸が高鳴るではないか。

 まず、長谷川アナが目をつけたのが、『ワンピース』の作品の中に登場する「空白の100年」と呼ばれる語られない時代のことだ。長谷川アナはそのときに「世界政府」が歴史の編纂を行ったと主張し、では、「韓国の朴槿恵大統領、そして中国の習近平国家主席はどうか」と問いかける。つまり、中韓の歴史認識にも同じような操作があると言いたいらしい。でも、それってわざわざ『ワンピース』やら「空白の100年」やらをもち出して言うようなことなんだろうか?

 しかし、長谷川アナはそんな疑問もおかまいなしにどんどん話を進めていく。「尾田先生が暴いた反日問題の正体の一つに、空島の戦いから読み取れる領土問題がある」という。占領された土地を取り戻そうとするだけで、侵略者やテロリストと呼ばれる。これは竹島、尖閣諸島に限らず、「世界中に存在する領土問題に対する鋭い皮肉が含まれている」らしい。で、突然「尾田先生が描く宗教観とでもいうべきものについて、思い切ってきりこんでいこう」と息巻き、「靖国神社は結局のところ、ただの『木でできた建物』だ」と言いきるのだ。『ワンピース』にはそんなくだりは一切ないのだが……と呆然としていると、長谷川アナは続いて、作中の伝説的海賊である白ひげが放つ台詞から、従軍慰安婦問題の解決法を引き出す。

「親の罪を子に晴らすなんて滑稽だ… エースがおめェに何をした…!? 仲良くやんな…」(58巻、536話)という言葉。これこそが鍵であるらしい。「日・韓・中すべての人になによりも伝えたい、伝えなければならない名言中の名言だ。この言葉以上に、もはや説明の必要がないからだ」と、感動に打震えながら語る。長谷川アナによると、主人公モンキー・D・ルフィにも同じニュアンスの台詞があるのだという。

「じいちゃんに言えよ」

 おう、めちゃくちゃシンプル。なおこの台詞、本書では708話(71巻収録)からの引用とされているが間違っている。ルフィの台詞は「じいちゃんに言えよ」ではなく、「そんなのじいちゃん恨めよ!!」が正しい。まあ、それは置いておくとしても、実際に韓国側から「従軍慰安婦の責任は?」と問われたとき「じいちゃんに言えよ」と居直ったところで納得が得られるとは思えないのだが……。

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