鈴木明子、ベッカム「摂食障害」「強迫性障害」に悩むアスリート

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 ある意味、アスリートに求められる最上のストイックさを実践しているかのようだが、彼の苦悩は深い。というのも、たとえW杯で優勝に導いたキックを決めても、「それほどよくなかった、むしろうまくいかなかったキックだ」と考え、優勝しても「わずかに喜んだだけ」。この世に本質的な完璧など存在しないが、完璧を求める強迫観念に取り憑かれたウィルキンソンに、それは通用しない。その苦悩は想像を絶するものなのだろう。彼は言う。「僕の問題は、もっとうまくやれたんじゃないかと常に考えることだ。(中略)でも、それしか方法がないんだ。僕がラグビーを、そして人生そのものを続けるには」。

 本書で紹介されている“正気を求めて闘う:サッカーと絶望と強迫性障害”という記事では、強迫性障害は「16歳で学業を離れた人たちの間でよく見られる」とある。若くして地元を離れ、より高度なトレーニングを受けるために家を出る少年・少女は多い。もちろん、それだけが原因ではないだろうが、摂食障害に苦しんだ鈴木明子も「「パーフェクトな自分でいないとお母さんや周りの人に嫌われちゃう」と思い込んでいました」と話しているように、幼くして自己との闘いを迫られるアスリートを目指す子どもには、親の理想や価値観を押しつけず、まわりの大人が子の気持ちをよく理解してあげられる環境づくりが大切なのだろう。
(田岡 尼)

最終更新:2014.07.05 11:04

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