なぜDQNネームは批判されるか? 宇多田ヒカルに村上春樹も

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「Twitter宇多田ヒカルアカウント」より

【ビジネスジャーナル初出】(2012年9月)

 瑠美衣(るびい)、希星(きらら)、亜夢(あむ)、果夢(かのん)、姫凛(ぷりん)、今鹿(なうしか)……。自分の子どもに外来語の当て字やアニメキャラのような名前をつけるDQNネームがこのところ、激しいバッシングにさらされている。

「子供をオモチャにしている」「いじめの原因になる」「そんな名前をつけられて年をとったら大変」、さらには「親の知的レベルを疑う」「社会階層の低い家庭の特徴」といった批判まで……。

 有名人の間でも異論続出で、宇多田ヒカルがTwitterで「最近日本では風変わりな名前の子供が多いらしいけど、絶対読めない名前とか、日本語っぽくない名前とか、ちょっとかわいそうだなと思う。親御さんたちは愛情をもって名付けたんだろうけど……」と批判的な態度を示したのに続いて、あの村上春樹までがDQN問題に言及した。

 自分の子どもに「椰子」と名付けて「ココナッツ」と読ませたいという女性が「そういう名前のつけ方を他人から批判されるとむかつく」とネットに書きこんでいたことを、新刊エッセイ『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』で取り上げ、こんな違和感を表明したのだ。

「うーん、むかつくかむかつかないかで、そう簡単に世界を二分されちまってもなあ……という気はした」

 ちなみに、村上は自作『ねじまき鳥クロニクル』で、登場人物に"赤坂ナツメグ""赤坂シナモン"という「ココナッツ」も真っ青な名前をつけているのだが……。

 それにしても、DQNネームは、本当にここまで批判されなければいけない行為なのだろうか。

 実は、子供に奇抜な名前をつけるという流行は今に始まったことではない。江戸時代の侍社会では誰も読めないような難解な漢字の名前をつけるのが流行った時期もあったし、近代以降も、知識階級の一部では外来語や外国人的名前の当て字をするケースがけっこうあった。

 たとえば、明治の文豪・森鴎外は長女の茉莉(マリ)を筆頭に、杏奴(アンヌ)、於菟(オットー)、不律(フリッツ)と、留学したドイツの影響丸出しの名前をつけているし、大正期の思想家であり作家の大杉栄は、魔子にエマ、ルイズ、ネストルと名付け、そのアナキストぶりをいかんなく発揮した。また、歌人の与謝野晶子・鉄幹夫妻にいたっては、アウギュスト、エレンヌなんていう到底、日本人とは思えない名前をつけている。

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