スポーツの暗部…政治権力に利用されるサッカーの実態

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
post_5225_soccer.jpg
「Thinkstock」より

【ビジネスジャーナル初出】(2014年6月)

 サッカー2014FIFAワールドカップ(W杯)ブラジル大会も中盤戦に入り、世界中でさらなる盛り上がりを見せているが、こうしたスポーツのビッグイベントのたびに話題となるのが「スポーツと政治」の問題である。

 2012年にロンドンで開催された第30回夏季オリンピック競技大会では、日本と韓国が激突したサッカーの3位決定戦後、韓国人選手が「独島は我が領土」と記載されたプラカードを掲げる騒動を起こした。今大会は、ウクライナ情勢を受けて、ロシア戦で一悶着が起きるのではないかと懸念されている。

 騒動が起きるたびに、メディアでは「スポーツに政治を持ち込むな」という、もっともらしい批判が語られるが、結局、なんの解決にもならないことが多い。それはスポーツと政治の関係、その中でも飛び抜けてサッカーが政治権力と密着してきたからだ。

●ディナモ・キエフの美談は捏造?

 例えば、今、紛争の発火点となっているウクライナには、その象徴ともいえる存在がある。

 FCディナモ・キエフは、ウクライナの首都キエフを本拠地とする世界的なビッグクラブだ。伊セリエAの名門・ACミランやイングランドプレミアリーグの強豪・チェルシーなどで活躍したスター選手のアンドリー・シェフチェンコを輩出したほか、ヨーロッパチャンピオンズリーグ(CL)の常連とあって、日本での知名度も高い。

 そのディナモ・キエフを世界的に有名にしたのが、第二次世界大戦時代にナチスと行った親善試合で、世に知られる「デス・マッチ」(死の試合)である。

 ナチスの占領下となったウクライナで、ナチスはサッカーの親善試合を企画する。当時からヨーロッパ屈指の強豪でウクライナ人の誇りとなっているクラブをナチスが倒し、ナチスの優秀性、それに歯向かう愚かさを教え込むのが目的だった。

「もしナチスに勝つようなことがあれば、選手は全員処刑する」、そう脅されながらも、ディナモ・キエフを中心に編成されたFCスタルトの選手たちは、母国の誇りのために死力を尽くして戦い、占領下の国民のために勝利した。ナチスは再試合の場を設けるが、その試合でもFCスタルトが勝利したため、選手たちは全員処刑されることになった。

 このエピソードをモデルにシルベスター・スタローン主演で映画『勝利への脱出』(パラマウント映画/1981年)が制作されたほどサッカー界では有名な話で、ディナモ・キエフのホームスタジアムには、この試合の記念碑もあるほどだ。

 ところが、スポーツジャーナリストのサイモン・クーパーによれば、この逸話は真っ赤なウソだという。94年、クーパーが「サッカーと政治」の問題に正面から切り込んだのが『サッカーの敵』(翻訳・柳下毅一郎/白水社)である。

 サイモン・クーパーが現地で取材したところ、ディナモ・キエフの広報担当者が、あの試合で選手がナチスに殺されたのは嘘であり、旧ソ連の諜報機関KGBによる戦後のプロパガンダだったと証言。

 さらにクーパーは、旧ソ連時代、KGB局長が地元モスクワのサッカークラブにディナモ・モスクワと名付けて以降、旧東側諸国では、秘密警察が管轄するサッカークラブを「ディナモ(英語:dynamo、発電機)」と名付ける習慣が生まれたと紹介する。東ドイツナンバー1のクラブだったディナモ・ベルリンは東ドイツの秘密警察シュタージ、元日本代表の三浦知良が入団したクロアチアのディナモ・ザグレブも旧ユーゴスラビアの秘密警察UDBAが関与している。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

スポーツの暗部…政治権力に利用されるサッカーの実態のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。サッカーワールドカップの記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 茂木人づくり相の公選法違反に新証拠
2 安倍政権が福井国体を戦前賛美に利用
3 ナチス礼賛、高須院長がまた訴訟恫喝!
4 加計学園獣医学部施設の設計図疑惑
5 ネトウヨ高須院長に息子が苦言!
6 高校生平和大使の演説中止と安倍政権
7 三浦瑠麗が戦前賛美、その御用学者体質
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 ローラが所属プロに奴隷契約の終了を
10 長渕剛が安倍政権を批判する新曲を発表
11 吉永小百合が「9条は変えさせない」
12 Nスペ731部隊検証にネトウヨ錯乱!
13 ウーマン村本こそ“最強反戦芸人”だ!
14 松本人志追及に井上公造が「圧力ない」
15 『永遠の0』は恐い!元特攻要員が批判
16 高橋洋一ら安倍応援団が特区ビジネス
17 日本の外務省が文大統領と同様の発言
18 欅坂46平手欠席の背景にブラック労働
19 トランプ差別発言に有本香と玉川徹が
20 「不倫学」が教える防止策とは?
1ウーマン村本こそ“最強反戦芸人”だ!
2 Nスペ731部隊検証にネトウヨ錯乱!
3久米宏、さんま、村本も東京五輪批判
4綾瀬はるかが毒ガス製造の元兵士を取材
5テレ朝が萩生田に全面謝罪した背景
6三浦瑠麗が戦前賛美、その御用学者体質
7高橋洋一ら安倍応援団が特区ビジネス
8市原悦子が語る戦争と安倍政権への怒り
9長崎のメッセージも安倍には届かず!
10 高校生平和大使の演説中止と安倍政権
11グアム北ミサイルは存立危機事態でない
12トランプ的どっちもどっち論横行の日本
13仲代達矢と桂歌丸が語った戦争体験
14寂聴「憲法を汚した安倍は世界の恥」
15手塚治虫が描いた戦争をいま読み直す
16閉会中審査、小野寺防衛相も隠蔽体質
17 ナチス礼賛、高須院長がまた訴訟恫喝!
18加計学園獣医学部施設の設計図疑惑
19幹部から新人までほとんどが商売右翼
20安倍政権が福井国体を戦前賛美に利用
PR
PR 飲むだけで女性のカラダの悩みを解消!?

人気連載

アベを倒したい!

室井佑月

室井佑月が斎藤貴男と「共謀罪」を徹底批判!「安倍政権に逆らう人が片っ端から逮捕される」

アベを倒したい!

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄

"体育会系相田みつを"松岡修造は本当に「ブレない男」なのか? 年を追うごとに変わっていく修造語録を読み解く

「売れてる本」の取扱説明書

ネット右翼の15年

野間易通

高市早苗はいかにして"ネオナチ"と出会ったか

ネット右翼の15年

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

戦争を放棄せよ! 軍事力がなくても侵略と闘う方法はある、自由のために闘える!

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」